採用活動というと、面接や書類選考などをイメージすることが多いでしょう。しかし、採用を上手く進めるためには、このような選考フローを開始する前の準備などが非常に重要になります。採用したい求職者と巡り合えるか、採用できるかは事前準備にかかっているといっても過言ではありません。そこで、本記事では、採用にかかわる一連の大枠の流れを解説していきます(各項目の詳細を掘り下げた内容は別記事で紹介していきます)。
- 採用活動を始めようとしている採用担当者
- 改めて採用の大枠の流れを復習して採用の改善を図りたい採用担当者
採用計画の立案
採用をするにあたり、まず初めにどんな職種の人を何人採用するのかを決める必要があります。何となくで進めてしまうと、採用後の組織の組立や、人員の過不足が発生してしまうためです。
では、どのようにして採用計画を立てていくのが良いのでしょうか?答えとしては、事業計画や予算計画と照らし合わせて、”このギャップを埋めるには経理が1人必要”という風に算出するとスムーズです。例えば、大まかには下記の4ステップのような感じで考えます。
例)
- 今の状況:今年は10人で50億円の売上が立っている(一人5億円の売上)
- 追う目標:次年度は20%の売上増加(=60億円)が全社目標になっている
- ギャップ:10億円の売上増加が必要
- 採用計画:5億円/人が売上実績なので、2人採用して10億円の売上増を目指す
人材要件・求める人物像の設定
採用する職種と人数を決めたら、どんな人物を採用したいかのターゲットを決めていきます。流れとしては、①求職者に求める条件の列挙→②条件の具体化→③具体化された条件の優先順位付け(取捨選択)になります。
求職者に求める条件の列挙
可能ならあればよいという条件、絶対外せないという条件などがあると思います。しかし、まずは重要度は考えず列挙からしていきましょう。その際、下記の2つから条件出ししていくとよいです。
- 仮定を置いて条件から囲っていく方向
- 実際の従業員から炙り出す方向
1.に関しては、「法人営業の経験がある」「Pythonでプログラミングができる」「簿記2級以上を持っている」など、条件を列挙していくことになります。2.に関しては例えば、既存のトップセールスへの聞き取りや観察などを通じて「xxxというマインドセットを持っている人物」「既存の慣習にとらわれない人物」という感じで炙り出していきます。2.に関しては、既に社内にロールモデルのような社員がいることが必要になるので、そうでない場合は1.で行っていくことになります。
条件の具体化
さて、条件が列挙された後は、その条件を具体化していきます。これはどういうことかというと、例えば「コミュニケーション能力の高い人」を題材にして考えていきましょう。
「コミュニケーション能力の高い人」
と言われて、皆さんはどのような人物をイメージしますか?この記事を読まれる皆さんによって変わるのではないでしょうか?同じように、社内の従業員間でも、応募する側の求職者でも変わってしまいます。
求職者のイメージは
「自分の考えを例示や適切な言葉で表現する能力」
と思っても、企業側のイメージは
「物事の実現のために人を納得させる交渉ができる能力」
では、求人を見て応募した求職者と会社側でのミスマッチが発生してしまい、採用がうまくいかない要因になってしまいます。このように、採用条件の言葉が多義的であるケースが結構多く存在するので、なるべく解釈に幅を持たせないように、意味や定義を掘り下げて設定することが非常に重要です。結構このプロセスは盲点になりがちです。
具体化された条件の優先順位付け(取捨選択)
ここまでで、採用したい人材に求める具体化された条件が列挙されたはずです。次に、これらの条件を優先順位付けを行い、良く求人票で見る「必須条件」「歓迎条件」にカテゴライズしていきます。この段階で、被るものや、実はあまり重要ではないものも出てくると思うので、必要に応じて取捨選択を行います。
ここでのポイントは、必須条件を多くしすぎないという点になります。入社後に育成可能な条件は歓迎条件に記載し、採用において最も重要な要件のみを必須条件に設定して、門戸を広げることで母集団形成が上手く確率が高まります。
選考フローの策定
ダイレクトリクルーティングにおいてはカジュアル面談を挟むケースが多いですが、書類選考に加えて、面接が複数回というケースが一般的かと思います。選考フローは、各選考ステップの目的を明確化した上で、制定した人材条件・求める人物像を見定めることができるように組み上げていくことが効果的です。詳細に関しては、それなりの量になってしまうため別記事にて解説しようと思いますが、大まかには各ステップにて下記のような形で考えるとよいと思います。
目的 | 備考 | |
---|---|---|
カジュアル面談 | ・企業と求職者のお互いの理解を深める ・企業の魅力を求職者に訴求する ・求職者が転職に求めるものを把握する | ・原則、選考フローではない会社が多い |
書類選考 | ・求職者が最低限の基準を満たしているかを見極める ・面接に要するリソースが膨れ上がらないようにする | ・希望条件の求職者が集まらない場合は友人票へのフィードバックを行う ・書類は面接時の質問材料として活用 |
面接 | ・求職者のスキルの見極め ・求職者のパーソナリティが社風とマッチするか見極める | ・複数回の面接の場合は、各面接の目的並びに見極め項目を明確化する |
最終面接 | ・求職者の熱意やコミットメントを見極める |
求人票の作成
会社HPや求人サイトなどに掲載する求人票の作成になります。求職者に対しては、この求人票が「顔」になるので、作りこみが非常に重要で、採用が上手く進むかはこの出来に左右されるといっても過言ではありません。求人票に記載する項目がどんなものかについては、インターネット上に書式が転がっていたりするので本記事では取り上げませんが、前のステップで人材条件や求める人物像を作りこんだので、これを張り付けていけばよいのでは?と感じる方も多くいらっしゃると思います。
では、どうすればよいか、何がポイントなのかというと、求人票での魅力訴求がキモになります。例えば、チームリーダークラスのAさん(28歳)向け、家族の時間を重要視しつつ経験を積みたいBさん(35歳)向け、お金より社会のために仕事をしたい本部長クラスのCさん(45歳)向けで、同じ求人でも書き方を変える必要があるのです。
例えば上記のAさんのような属性だと、下記の項目が非常に重視される傾向にあります。
- 仕事のやりがい
- スキルアップ
- 裁量
- 役職・昇進速度
この場合は、事業、仕事、待遇、制度を中心に据えて記載をすることで、上手く訴求ができ、応募数増加や、選考過程中の離脱を低く抑えることができます。このように、どんな役職なのか、応募者がどんな人生フェーズにいるのかを想像して求人票の記載をしていくだけでもかなり効果的です。求人票の作成に関しては、下記の記事でもう少し掘り下げて解説しているので、併せて参考にしてみてください。
求める人材のいるマーケット・採用媒体・エージェントの選定
母集団形成において、どんなマーケットに求める求職者が居るかを押さえることは重要です。また、転職市況も活況ということで、非常に多くの業者・選択肢が存在するので、まずは採用媒体・エージェントの選定を行います。人材紹介会社の各社紹介や比較は、別記事で紹介する機会を設けようと思いますが、大枠として採用手法については下記の記事に記載をしているので、参考にしていただけるとよいかと思います。
採用活動
以上のステップを終え、めでたく採用活動開始となります。最初から満足する母集団形成ができたり、ドンピシャの求める人材条件の求職者が来ることはなかなかないので、改善できるところから改善できるようにPDCAのサイクルを回していくことになります。
エージェントを活用している場合は、求める求職者を紹介してくれないケースもあると思います。その際は、エージェントの担当者と密に連携を取り、求める人材条件の解像度を上げていくなどの必要があります。
まとめ
本記事では、採用に関する一連の大枠の流れに関して解説をしていきました。盲点になりやすい細かい点もありましたが、実際に出来ていない会社が多い項目もあるので、これができるだけでも採用活動が上手く進む可能性はかなり高くなるはずです。本記事が皆さんのご参考になれば幸いです。
コメント